第28回 ユーザーが操作している様子を見たことがありますか?
お久しぶりです。以前、ユニバーサルデザインとアクセシビリティの違いと、テレビリモコンのユニバーサルデザインのお話をした、本宮です。
今回は、ユーザビリティの取り組みの第一歩となる、ユーザーテスティングによるユーザビリティの評価についてご紹介します。
まずはじめに、ユーザビリティについて少し説明しますね。
ユーザビリティは「使い勝手」とも言われますが、ユーザーにとってのWebサイトのわかりやすさ、理解しやすさ、操作しやすさなどです。
Webサイトを、わかりやすく、理解しやすく、操作しやすいように開発(企画、制作)することを、「ユーザビリティに配慮する」「ユーザビリティを向上させる」といいます。
ここで大事なのは、“ユーザーにとって”というところです。“ユーザーにとって”のわかりやすさや理解しやすさを考えるのですから、ユーザーが実際に操作しているところを見たり、ユーザーの生の声を直接聞いたりして、ユーザーが何を考えてどのように操作をしているのかを理解することが重要になります。
Webサイトを開発、企画、制作した人には思いもよらないところで、ユーザーは操作につまずいたり、間違って操作してしまったり、わからなくてあきらめてしまったりするのです。
では早速、私たちが、どのようにしてユーザーが実際に操作しているところを見たり、ユーザーの生の声を聞いたりしているのかをお話ししましょう。私たちは、「ユーザーテスティング」という手法で、ユーザビリティの評価をしています。
ユーザーテスティングによるユーザビリティ評価の流れは、図1のようになります。

(図1)ユーザビリティ評価の流れ
Phase1 評価計画から順に、概要をお話します。
Phase1 評価計画
まず、評価の目的を明確にし、評価課題を作成します。
全体構成、ナビゲーション、各ページの構成など、作成時にどうしようか迷ったところやあらかじめ問題になりそうな個所をピックアップし、それらの個所の操作を含む課題を作成します。
課題の例を以下に示します。
課題
自動車会社で開発を担当しているあなたは、環境に配慮した車を開発したいと考えています。自動車部品の製造を行っている各社が、環境に配慮したどのような部品を開発しているかを把握するために、自動車部品を製造している日立についても調べておこうと思いました。
それでは実際に、日立のホームページから、日立が環境に配慮したどのような自動車部品の開発を行っているのかを調べてみてください。
例にあるように、今ユーザーがどういう状況にいるのか、そして何のために、何をしようとしているのかを、シナリオ仕立てにします。ここでは状況設定や課題がユーザーにとって自然であることが重要です。なぜなら、ユーザーには、頼まれて課題を実行するのではなく、いつもWebサイトを使っているときのような気持ちになって操作してもらう必要があるからです。
次に、評価に参加してもらうユーザーを集めます。Webサイトの主な対象ユーザーを確認し、評価日程を決定してユーザーを募集します。募集方法はいろいろ考えられますが、一番多く用いているのが人材バンクなどデータベースを持っている会社に依頼し、対象ユーザーのプロフィールに合い、評価日程に都合のつくユーザーを選出してもらう方法です。
評価に必要なユーザー数は課題や対象ユーザーによっても異なりますが、各対象ユーザーグループを5人ずつにすることが多いです。5人テスティングすると、約80%の問題が抽出できると言われています(図2参照)。
(図2)グラフ 発見される問題数の変化
Phase2 評価
評価を実施します。評価を行う部屋には通常、ユーザー本人と、ユーザーに評価の概要や、やってもらう課題を説明するインタビュアーの二人が入ります。(図3参照)この二人とは別に、ユーザーの操作の様子を観察、記録する記録者が、隣の部屋からマジックミラー越しにその様子を観察します(図4参照)。![[写真]テスティングルームにて評価を行う様子 [写真]テスティングルームにて評価を行う様子](http://jkk.boxerblog.com/photos/uncategorized/2007/09/06/uni28_3.jpg)
(図3)評価を行う部屋の様子(テスティングルーム)
![[写真]記録を行う部屋からテスティングルームを見たところ [写真]記録を行う部屋からテスティングルームを見たところ](http://jkk.boxerblog.com/photos/uncategorized/2007/09/06/uni28_4.jpg)
(図4)記録を行う部屋からテスティングルームを見たところ
ユーザーには、事前に、この評価はユーザーの能力を試すものではなく、Webサイトの使いやすさについて意見を伺うものだということを理解してもらいます。
そして、ユーザーが操作をしているときに迷ったり、イライラしたり、わからなくなったときには、そのとき何を考えているのか、どうしたいと思っているのかなどを言葉に出して話しながら課題を遂行してもらいます。この方法を発話思考法といいます。
しかし、話しながら操作することに慣れていないユーザーは、操作に集中してしまい、黙り込んでしまうこともあります。こういうときはインタビュアーが「どうしましたか?何をしようとしていますか?何を探していますか?」などと問いかけ、ユーザーに話をしてもらうようにします。このとき、課題を進める上でのヒントになることを言わないように注意します。
ユーザーの操作の履歴や見受けられた問題点は記録者がメモをします。
Phase3 分析
評価が終了したら、記憶が新鮮なうちに記録した評価の結果をまとめます。
インタビュアー、記録者が集まり、記録用紙を見ながら各課題の問題点を抽出し、その問題がなぜ発生したのか原因を特定します。そこから解決策や再設計を行う際の優先順位について検討します。
以上、今回はユーザーテスティングによるユーザビリティ評価について、一通りの流れをご紹介しました。なんとなくイメージしていただけましたか?
まだ一度も、実際のユーザーが操作している様子を見たことがない方は、ぜひ機会を作って見てみてください。思いもよらない問題点が発見できるはずです。
では次回は、高齢者をユーザーとして行ったユーザビリティの評価についてご紹介します。
